油脂データ一覧
用語集





せっけんを作りたい方へ

せっけんを作る素材はとってもシンプル!基本の素材は、油脂苛性ソーダの3つです。これだけあればせっけんはできます。
せっけんの香り・色・有効成分となる
オプションの素材は、エッセンシャルオイルハーブクレイなどを用います。
道具も、お料理やお菓子作りに使うものと同じ。ご家庭のキッチンで作ることができます。
作るのはタイヘン!という方に、Peach Blossomオリジナルのハンドメイドソープをご用意しておりますので、ぜひショウルームも覗いてみてくださいネ。


 素材の知識

● 油脂  Oils and Fats
油脂にはオリーブ油などの植物性油脂、ラードなどの動物脂、パラフィン油などの鉱物油がありますが、わたしはアロマテラピーの観点から植物性油脂を使ってせっけんを作っています。使用する油脂は1種類でもできますが、異なる性質の油脂を数種類をブレンドして作ったほうが使い心地のよいせっけんができます。油脂の性質を決定するのは脂肪酸。どんな脂肪酸がどれくらい含まれているかによって、出来上がるせっけんの性質も違ったものになります。しっとり感とやさしさ、泡立ち、硬さの3点をポイントにバランスよく配合すると、使用感の良い、犬にも人にも使えるせっけんができます。油脂に含まれるビタミンファイトケミカルなども、見逃せない有効成分です。

しっとりしてやさしいオレイン酸を多く含む油脂
    オリーブ油、アボカド油、椿油、スイートアーモンド油
    マカデミアナッツ油、シアバター など
泡立ちが豊かなラウリン酸を多く含む油脂
  
  ココナッツ油、パーム核油
適度な固さで溶け崩れにくいステアリン酸を多く含む油脂
    パーム油、シアバター、ココアバター など
その他プラスαの機能をもつ油脂
    ひまし油・・・保湿、細かな泡立ち
    ホホバ油・・・保湿と皮膚への質感のアップ
    ステアリン酸などの脂肪酸パウダー・・・硬さと乳化促進
    etc...

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● 苛性ソーダ(水酸化ナトリウム)  Sodium Hydroxide
食塩から作られる白いフレーク状のアルカリ性物質で、油脂をけん化させるのに必要。固形せっけんを作ることができます。ちなみに液体せっけんには苛性カリ(水酸化カリウム)を使用します。薬局で購入できますが、劇薬指定のため注意が必要です。薬局によっては扱っていないところもありますので、お店に確認してみてください。

苛性ソーダの注意事項
購入の条件
 ・年齢18歳以上
 ・住所・氏名・電話番号を記入の上印鑑捺印
 ・場合によっては身分証明書の提示を求められるかも・・・
取り扱いと保存の際の注意
 ・ゴム手袋着用!素手では絶対に触ってはいけません。
 ・必ず水の中に苛性ソーダを入れること。逆の手順はキケン!
 ・水に苛性ソーダを入れると90℃近い高温になるので注意。
 ・水の中に入れたときに発生する水蒸気を吸い込まないように。
  マスクを着用し、換気をよくしておくこと。
 ・取り扱い中は小さなお子様、ペットをそばに近づけないこと。
 ・空気中の水分を吸って溶けるので、フタの開け放しをしない。
 ・安全な場所に保管し、家族にも注意を促しておく。
 ・せっけんを作る人が責任を持って管理すること。

わたしの失敗談:苛性ソーダ編
 初めてせっけんを作ったとき、苛性ソーダの中に水を注いだら、刺激性の蒸気が一気に立ち昇りました。マスクをしていましたが蒸気を吸い込み、ノドをいためてしまいました。
せっけんを作り慣れた頃に、ちょっとした油断で痛い思いをしたこともあります。ゴム手袋をせずにせっけんのタネを触ってしまったのです。すぐに刺激や痛みを感じるわけではないので、しばらくたってから水で洗い流しましたが、時はすでに遅く、指先がピリピリと刺すように痛くなりました。
 
正しく扱えば、苛性ソーダは怖いものではありません。しかし、ひとたび注意を怠ると事故につながります。苛性ソーダの扱いは、十分に注意してください。


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● 水  Water
油脂に苛性ソーダを混ぜるには、まず水に苛性ソーダを溶かしておかなければなりません。せっけんに使う水には、薬局で購入できる精製水が適しています。ミネラルウォーターでは、限りなく純水に近いものならいいですが、硬度が高くなるとけん化を妨げてきれいなせっけんができません。水道水も、カルキやサビなどの不純物が混入していますので、避けたほうがよいでしょう。。
ハーブティーを水の代わりに使うこともできます。水に何がしかの成分が加わると、苛性ソーダを混ぜたときに温度が100℃を上回ることがあります。また、アルカリに弱い成分は壊れてしまいます。



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● エッセンシャルオイル  Essential Oils
精油とも呼ばれ、植物の花、葉、果皮、果実などから抽出される天然の芳香物質です。揮発性で、油によく溶けます。香りと有効成分の両方を、せっけんに活用することができるため、わたしは「鎮静させたい」「活力を出したい」など、目的に合わせて香り選びをしています。
香りには、すぐに周囲に広がって揮発するトップノート、持続性があるベースノート、その中間のミドルノートがあります。代表的なトップノートのスイート・イオレンジ、レモン、グレープフツーツなどは香りが飛びやすく壊れやすいので、いくらせっけんに配合してもあまり香りがしないということがあります。ミドルノートで、同じ柑橘系のプチグレン、ベースノートで柑橘系とよく合うキャロットシードなどとブレンドするとよいでしょう。ジュニパー、ユーカリなど、染み通るような鋭い香りも、最初の印象がずいぶん弱まります。
エッセンシャルオイルの詳しい作用は、
エッセンシャルオイルデータ一覧をご覧ください。


わたしの失敗談:エッセンシャルオイル編
 アロマテラピー初心者の頃の失敗です。ヨーヨーせっけん(なつかしい!)が大流行した後で、やせるせっけんができないものかと調べていたら、なんとやせそうなエッセンシャルオイルがあるではないですかっ!! ゼラニウムやジュニパーにはセルライト防止、ブラックペッパーには細胞の活性化、ベチバーにはたるんだ皮膚を引き締める効果など、それらしい効能のあるエッセンシャルオイルすべてをブレンドしてせっけんを作りました。出来上がったのは、例えようのないクサイせっけん。もちろん、やせるわけもなく・・・。
 香りのブレンドは一度失敗すると、修復は不可能といわれています。効能だけでブレンドするのは失敗のもと。香り同士の相性や強弱が大切なんだ・・・と身をもって体験しました。

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● ハーブ  Herbs
エッセンシャルオイルもハーブも、原料植物は共通のものが多いのですが、ハーブのほうが作用が穏やかです。油溶性のエッセンシャルオイルに対し、ハーブは水溶性の成分を利用します。ハーブティーを作って苛性ソーダを溶かす水として使ってもいいし、せっけんタネに混ぜれば、素朴な風合いに仕上がります。このとき大切なのが、ミルミキサーなどで細かく砕いてから混ぜ込むことです。ハーブが大きいままですと、洗ったときに毛に絡まりますし、硬い部分が混入していると、皮膚を傷つけてしまいます。
インフューズドオイル
を使うのもいいですね。オレンジ色のカレンデュラやキャロットのインフューズドオイルは、皮膚を修復するカロテンが豊富で、せっけん作りにはおすすめです。


わたしの失敗談:ハーブ編
 花びらの入ったお花畑のようなせっけんが作りたいと、ラベンダー、マロウ、コーンフラワー、カレンデュラ、ローズを混ぜてみました。カレンデュラ以外はすべて変色し、見るからに汚くてがっかりしました。ラベンダーやマロウ、ハイビスカスのような赤からブルー系の色は、せっけんのアルカリによって茶色く変色してしまいます。カレンデュラやベニバナ、ヨモギのようなオレンジ、グリーン系は比較的色が活かせます。
 混ぜるハーブの大きさも大事です。まるごとハーブを入れたことがあるのですが、自分の髪を洗ってみたら、ハーブが髪に絡んでしまい、洗い流してもなかなか取れませんでした。これが犬の毛だったらもっと大変なはず。ハーブは必ず細かくしてから使いましょう。

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● クレイ  Clay
せっけんの色を楽しみたいときに大活躍してくれます。色はレッド、ピンクイエロー、ホワイト、グリーンなどがあり、採掘地によって性質が異なります。しかも、ハーブと違ってアルカリににより変色するということがありませんし、混ぜる量で色の濃淡が出せたり、違う色の組み合わせや、マーブルやモザイク模様などを楽しむことができます。色はあくまでも飼い主さんが楽しむためのものですが、犬たちの体にも有益に働いてくれるのがクレイのよいところ。ヨゴレの吸着作用、老廃物や毒素の吸収作用があり、たっぷり含まれるミネラルが被毛につやを与えてくれます。

● その他の素材
ハーブチンキ、はちみつ、炭パウダー、穀類、野菜など、身近な素材を活かすことができます。

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 レシピの組み立て方

まず、バッチサイズを決めましょう。600gから800gくらいが作りやすいですね。さらに、どんな目的のせっけんを作りたいかを決めます。これによって、使用する油脂やオプション素材を選択します。

  EX. 乾燥がちな皮膚をいたわるやさしい作用のせっけんを作る
                            (バッチサイズ800g)

    
●しっとりやさしいオレイン酸主体の油脂から50~70%
         
アボカド油 480g
    ●泡立ちの良いラウリン酸主体の油脂から10~20%
         ココナッツ油 80g
    
●硬いせっけんをつくるステアリン酸主体の油脂から20~30%
         
パーム油 160g
    ●プラスαの機能を持つ油脂から保湿性のあるもの10~20%
         
ひまし油 80g
    ●
スーパーファットとして2~3%
         
ホホバ油 15g

    ※ ステアリン酸、ミリスチン酸などの飽和脂肪酸のパウダーを
       15g~25gほど加えると、タネの乳化を促進し、ソーダ灰析出
       を防いでくれます。

使用する油脂の種類と配合量が決まったら、
油脂データ一覧の苛性ソーダ換算価(g)を参照して、苛性ソーダの必要量を計算します。換算価が0.136ならば、100gの油脂をけん化するのに13.6gの苛性ソーダが必要ということです。

    ●アボカド油 480g×0.137 = 65.76g
    ●ココナッツ油 80g×0.184 = 14.72g
    ●パーム油 160g×0.145 = 23.2g
    ●ひまし油 80g×0.135 = 10.8g

    ※ スーパーファット分の苛性ソーダは加えません

      65.76+14.72+23.2+10.8 = 114.48g

アルカリ量を減らしてマイルド&低刺激に仕上げるため、苛性ソーダの15~20%を
ディスカウントします。ここでは20%ディスカウントしてみます。

      114.48g×0.8 = 91.584 ≒ 
90g ←苛性ソーダの必要量

次に精製水の必要量を計算します。バッチサイズの30~40%の水を使用します。ここでは30%で計算します。

      800g×0.3 = 
240g ←精製水の必要量

次にオプション材料を決めます。エッセンシャルオイルは、油脂と水の総重量の0.2~0.5%程度で配合します。香りや作用の強さなどを考慮して、配合量を決めてください。ここでは保湿作用や抗炎症作用があり、たいへん穏やかなローマン・カモミールを、油脂と水の総重量の0.3%使うことにします。

      800g+240g = 1,040g
      1,040g×0.003 = 3.12g ≒ 
3g (約66滴)
      ←エッセンシャルオイルの必要量

通常エッセンシャルオイルのボトルには、1滴0.05mlで滴下できるようなドロッパー栓が付いています。20滴で1mlになります。エッセンシャルオイルの比重を0.9として、1gは約22滴、3gのローマン・カモミールは約66滴に相当することになります。0.1g単位のデジタルスケールを使えば、もっと正確に計量できます。

以上で、ひとつの目的を持ったせっけんのレシピが組み立てられました。

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 道具と装備

● 道具類
ステンレスボウル 1個 容量2.5~3リットルくらいのもの
なべ 1個 ボウルが湯せんできる大きさのもの
耐熱ボトル 1個 耐熱ガラスかプラ製で注ぎ口があるもの
棒温度計 2本 オイルとアルカリ水溶液の温度を計る
容器類 適当 材料を計量するのに使う
泡立て器 1本 タネの撹拌用で大き目のほうが疲れにくい
ゴムベラ 1本 オイルやタネをこそげ取るのに使う
ステンレススプーン 1~2本 材料の計量や混ぜるのに使う
デジタルスケール 1台 材料を計量するのに使う
ミルミキサー 1台 ハーブなどを細かく挽くのに使う
せっけん型 1個 寒天の型、牛乳やお菓子の容器でOK
包丁 1本 出来上がったせっけんをカットする
保温箱 1個 発泡スチロールなどの保温性のよいもの
バスタオル 適当 せっけんのタネを保温するためのもの
古新聞 適当 作業場周辺を覆ったりあとかたずけに
ビニール袋 適当 タネをこそげた新聞紙などを入れる

● 装備
ゴム手袋 1双 完成までの全工程で着用
マスク 1枚 アルカリ水溶液を作るときに必要
ゴーグル 1個 タネを型入れするまでの全工程で必要
エプロン 1枚 タネを型入れするまでの全工程で必要
バンダナ 1枚 タネを型入れするまでの全工程で必要


苛性ソーダ、アルカリ溶液、未反応のせっけんタネを扱うときは、素手で触ったり、体や衣服などに付けないよう注意して扱ってください。できるだけ肌の露出を少なくしましょう。


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ワンちゃんのためのせっけんレシピと作り方、ドッグアロマテラピーに関するノウハウをつづった本を出版しました。
ご自分でせっけん作りにトライしたい飼い主さんのお役に立てていただければ嬉しいです。

Peach Blossomのせっけんをお試しになりたい方は、ショウルームをご覧ください。







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