せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。

 
傍聴してきました(1)
~中央環境審議会動物愛護部会~
2007/10/1


 ちょっと前のことになってしまいましたが、8月、初めて官庁で行われる会議を傍聴してきました。しかも二度。ひとつは8月3日に環境省が開催した『中央環境審議会第20回動物愛護部会』、もうひとつは8月20日に農林水産省と環境省が共同で開催した『第1回ペットフードの安全確保に関する研究会』です。そのときのご報告を、2度にわたってコラムにしてみようと思います。今回は、中央環境審議会動物部会です。

 環境省の中央環境審議会には、自然環境とか、外来生物とか、農薬とか、リサイクルとか、たくさんの部会が設置されています。そのうちのひとつ、動物愛護部会は、平成13年3月に第1回召集。委員には動物医療やペット業界では著名な方々が名を連ねています。東大教授の林良博先生を部会長に、ねこの博物館の今泉忠明さん、“動物の赤ひげ先生”と呼ばれている獣医師の兵藤哲夫先生、優良家庭犬協会の佐良直美さん、などなど全15名。今回は、動物の愛護及び管理に関する法律に基づく諸基準の改正についての議論で、具体的には法律の文言を一部修正するかどうかを問うものでした。

 最近、山間部では野生サルの被害が深刻です。これを殺さず山に返す“追い払い犬”が、長野県大町市などで実績を上げています。追い払い犬となるのは、有志の飼い主さんの家庭犬で、訓練され、サルが出たときだけ召集されて追い払いをするのだそうです。『家庭動物等の飼養及び保管に関する基準』には、犬は囲いの中で飼い、放し飼いはしないという内容があるのですが、そこにこういった追い払い犬、警察犬、狩猟犬等は「この限りではない」という文言を付け加えるか否かという議題がひとつ。(前置き長いですね)
 放し飼い禁止を定めるいちばんの目的は、その犬が他人や他人の財産を傷付けたり壊したりしないようにということです。委員のおひとりが、「サルの追い払い犬は広い範囲に放たれて、ちゃんと戻ってきているのでしょうか。」と質問されました。そのときは、放たれた犬がそのまま迷ったり脱走したりして、野良になってしまうのでは?と疑う空気がありました。(少なくともわたしはそう感じました) しかし、担当職員さんの答えはそれに反するものでした。「1頭だけ戻らなかったと報告があります。サルを追って川に落ち、死亡した例です。」 それを聞いて、会場が一瞬、犬に近しい身でありながら犬を信じていなかった己の心を恥じ入るような雰囲気に変わりました。
 この議案は、文言を付け加える方向でおおむね肯定されたものの、では介助犬・補助犬はどうなんだ? 災害救助犬は? そもそも放し飼いの定義とは何なのだ? といった議論になりました。こうなるとちょっと本末転倒な気もしますが・・・。

 もうひとつは、『動物の処分方法に関する指針』。この指針には、従来はただ「処分」とのみ表記していたものを、「殺処分」と替える旨を問う議題。「殺」という言葉は残酷さを示唆するので、この言葉への変更は妥当かどうかが議論されました。
 何を今さら殺処分が残酷だなんて!現実は殺処分に違いないし、むしろただの処分では、現実を隠蔽するだけじゃないか!と、すぐに頭から湯気の出たわたし。兵藤先生が「殺すという言葉は酷いことを自分でやらず他人にやらせている人、つまり犬・猫を生まれてしまったから、病気になったから、引っ越すからといった理由で保健所に平気で持ち込む人に、現実を認識してもらうための意味がある。」というような発言をされました。(いいぞ!兵藤先生) さらに先生は、「その酷い仕事をしなければならない人へのいわれない偏見もある」と。殺処分の方法は炭酸ガスによるものが多いですが、薬物注射をとる自治体もあるといいます。「殺処分のための薬剤供給は安定していない。処分の手段にもばらつきがあって、動物の苦痛に差が生じているのは問題。獣医師には処分手段の解説書も示されているが、現状がともなっていない。」赤ひげ先生の苦悩に、心が痛みました。今回傍聴した会議で、いちばん深く重く受け取りました。

 年間36万頭といわれる犬・猫のの殺処分、自分勝手に遺棄する人や、ペット流通の過剰な状態を考えると、この数がゼロに限りなく近づくのはいつのことか・・・それまでの間、殺処分は行われ続けます。殺処分に愛護も何もないと思うけど、動物愛護法でいう「苦痛をともなわない方法で」を、行政は実施できていない、これは大きな矛盾。動物行政の最高機関ではこのような意見も出されているのに、実際に執り行う側の地方自治体には反映されていないのですね。行政による法律違反ではありませんか?なぜ?お金ですか?効率ですか?

 ガス室に取り付けられたモニターやのぞき窓で処分(死亡)を確認したのち、遺骸は焼却されます。ガス充填のスイッチを押し、死を見とどけるのは、獣医をはじめとする職員さんたちです。以前のコラムにも書きましたが、やはりわたしは処分を申し出た飼い主さんは、自分で自分の飼っていたペットの死を見とどけるべきだと思う。ガス室でも、薬物注射でも、どんな方法でも。


 余談になりますが、会議がすすむ中、お茶を運んできた女性職員の服装にびっくり!紫の矢がすり模様にたすきをかけた袴姿、編み上げの黒いブーツ、長い髪は後でまとめ、大きな赤いリボンを付けています。なんでここにハイカラさんが・・・??? この会議の恒例かしら? 未だにわかりません。


身勝手な飼い方をされる
ペットたち

本田三緒子
大日本図書
世界にたったひとつ
君の命のこと

奥本大三郎
世界文化社
子供の頃から動物が大好きで、獣医になる夢を持っていた著者が、実際に獣医師になり、保健所の予防員になり、身勝手な飼い主によって不幸なペットたちを見るづけてきた記録。文字が大きく、大切なことがやさしく説明されているので、これからペットを飼う家庭、特に子供さんのいる家庭に。 日本のファーブル奥本先生が、生き物という大きな目線で、生きるとは?死ぬとは?を説いています。普段わたしたちは人の生死しか考えない。でも生き物としての方向性は虫でも人でも同じ。自分の命も、他人の命も、他の動植物の命も、いたずらに奪う権利はないんですよね。







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