せっけん作りやドッグアロマテラピー、犬との生活から
感じたこと、学んだことなどを綴りました。
お役立ち情報とともにお届けします。

 
汗と涙のプチ農業
2007/4/26



 この見事な野菜たちをご覧ください!!わずか6畳ほどのスペースの市民農園で、ある夏の1日に収穫した野菜です。トマトがたくさん!変わった種類があるでしょう?ヨーロッパの市場に積み上げられているような珍しい野菜が見たい、食べたい、作りたい、そんな思いに駆られて、輸入もののタネを取り寄せ、苗作りから始めてやっと実りました。

トマトは5種類、左から緑色の長いのがグリーンソーセージ、真ん中の上、小ぶりで扁平なのがマーマンデ、その下がティゲレラ、右上の巨大なのがブランディワイン、その下の白いトマトはホワイトワンダー。日本のスーパーで見かける種は桃太郎ばかりですが、トマトってこんなにバラエティーがあるんだ!他にもロシアの黒いトマトや、メキシコのほおずきトマトなど、まだまだあるよ!
なすだって、真っ白なのや、白地に紫のきれいな縞の入ったのや、黄緑色のものまで、本当に知れば知るほどおもしろい野菜たちです。

ティゲレラ
赤地に黄色い縞模様
ホワイトワンダー
白いトマト!
ブランディワイン
巨大なビーフステーキ種
ブランディワインは
葉っぱもこんなに巨大!

 マンションのベランダでハーブ作りから始めたわたしは、とにかく収穫できるものが好き。横浜に越してきて、運よく市民農園に当たったわたしは、自分で育てない限りは絶対手に入らない洋野菜を中心に栽培を始めました。4月、与えられた面積はわずか15平方メートル。でも、いざ耕し始めると、なんとたいへんなことか!お百姓さんの腰が曲がってしまうのがわかります。筋肉痛になりながらやっと耕し終わっても、まだまだすぐには植えられません。石灰で消毒し、2週間ほどたったらたい肥を漉き込みます。その間家の庭では野菜苗を育てます。

 1ヶ月ほどたってようやく植え付け。敷地の周囲と内側に20センチほどの通路をつくり、6つに分けた区画にトマトを6株、ズッキーニを2株、きゅうりを4株、そのほかにとうがらし、じゃがいも、サボイキャベツ、ベビーにんじん、コールラビを植えました。この段階では土ばかりで、緑はほとんどありません。この頃のわたしはまだ会社勤めをしていて、毎日のように畑に通えません。数日おきに様子を見にいくたびに苗は大きくなり、気温が上がるとともにものすごい勢いで巨大化!隣の区画のおじさんは通路を作らずぎりぎりまで苗を植え込んでいたので、やはり巨大化してきた苗がこちらの通路をふさぎ始めた!隣の区画を侵さないような栽培は最低限のマナーですね。畑には水の設備がありませんから、夏の日照りが続くときは、25リットルのタンクに水を入れ、カートに積んで1キロほど離れた畑まで通いました。たまには子犬のももちゃんを連れて見回りにもいきました。

アフリカンマリーゴールドです。
土中の線虫や害虫類を防ぎ、花も
楽しめるので作物の間に植えました。
ハーブ類には、畑に混植すると作物に有益な
働きをしてくれるものがたくさんくあります。

 大地で栽培する野菜の生長の早さには、驚くべきものがあります。ズッキーニの実が15センチほど(スーパーで売っている大きさ)になったので、あともう少し大きくなってから収穫しようと思い2日後に訪れてみると、自分のふくらはぎのように大きくなっていた!
 きゅうりもすごい!あっという間に長さ40センチくらいに育ちます。このきゅうりは四葉きゅうり、四葉と書いて“すうよう”と読みます。昔ながらの種類で鋭いトゲトゲがありますが、シャキシャキとした歯ごたえが素晴らしいきゅうりです。

右が四葉きゅうり、左がズッキーニ。
新聞紙の大きさと比べてみてください。
大きいでしょう?

 八百屋さんでこのきゅうりを見つけて思わず手に取ると、店のおばさんが「それきゅうりですよ。珍しいでしょ。」と言われ、驚いてしまいました。わたしからすれば、子供の頃に普通に食べていたトゲトゲきゅうりだけど、おばさんによると、今どきの人からは「これ何?」と言われるそうです。そうそう、トゲが痛いからって表面の滑らかなブルームレスきゅうりがいつの間にかすべてのきゅうりになってしまっていたのですね。
 それにしてもこんなに大きくなって、さぞ大味だろうと思いつつ食べてみると、今までに経験したことないおいしさです。やっぱりたくましく育った作物は素晴らしい!!

 ほんの小さな区画だけど、勢いよく成長する野菜たちに、いつの間にか食べるほうが追いつかないほどになりました。市民農園の賃借期間はたった1年間でしたが、得たものはたくさんありました。まず、店頭に並べられるような形よく粒ぞろいの野菜を作るのは、とってもたいへんだということ。お百姓さんってすごいなー、農業って奥が深いなーと思いました。まぁ、農薬と機械できれいな野菜を大量生産する農業のカタチもありますが・・・。それに、大地から収穫した野菜は、ベランダで育てるプランター野菜とは比べ物にならないくらい濃密な味でした。やっぱり土地のパワーってすごいんですね。手塩にかけて育てた野菜だからなおさらおいしいということもあったでしょう。だから、ひとつとして無駄にしたくはない。普段野菜や植物に関してはあまり意識していなかった「命をいただく」という感覚を、しみじみと実感しました。

 今思い出すと、ひとつだけ残念だったことがあります。それは、このすばらしい収穫を、ももちゃんのごはんには全く活かしてあげられなかったこと。この頃はドッグ・フードオンリーだったので、ももちゃんはおいしい野菜を食べることはありませんでした。
 小さな庭で、少しばかりの野菜を今も育てています。今度はももちゃんもはなちゃんも一緒に・・・わんことともに自家菜園の作物を堪能できたら、とってもいいですよね!





とっても、トマト!
ミミ・リュバーマン
フレックス・ファーム
園芸家12ヶ月
カレル・チャペック
新潮文庫
初めて見るトマトのニューフェイスたち。苗を育てながら、いつもこの本を見て、いつか実るトマトを想像していました。トマト栽培の解説書でもあるのですが、きれいな写真とエッセイ風の文章が、収穫するまでのワクワク感を増幅してくれます。自分で育て、収穫し、料理して食べる新しいカタチの農の本ですね。 アリスファームの宇土巻子さんが、好きな本にこの1冊を挙げていました。薄い本だけど読んでみると宇土さんが好きと言った理由がわかりました。何より100年も昔のチェコの作家チャペックと、現代日本人のわたしたちの笑いのツボが同じなのには驚き!チャペックは、あの有名なワンコ本「ダーシェンカ」を書いた人です。







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